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生命保険や医療保険に加入する際に使う印鑑についてのまとめ

一部の保険会社では印鑑の届け出を不要としている会社もありますが、依然として、保険会社の中には本人確認のために加入の際に提出が求められることが多い印鑑。

そして、そんなときに頭を悩ますのが、

「生命保険に加入するとき、一体、どの印鑑を使えばいいの?」

ということではないでしょうか。

この問いに対しては、先に結論を申し上げますと、実は正解はありません。

生命保険の加入に際して、どんな印鑑を届出印として提出するのかということについては、様々な考え方がありまして、その判断は個々に委ねられているというのが現状です。

そこで、本記事では保険加入のときに使用する印鑑の選び方について、認印、実印、銀行印、それぞれの印鑑に、どんな見方や考え方があるのかということをまとめました。

「生命保険や医療保険の加入のときに、どの印鑑を使えばいいの?」ということを考える際の参考にして頂ければと思います。

では、早速見ていきましょう。

生命保険や医療保険に届け出る印鑑は使用シーンから考える

保険会社に届け出る印鑑のことを考えますと、「契約」に焦点をあわせがちですが、実は重要なポイントになってくるのが、保険会社から保険金などお金を受け取る「申請時」になります。

例えば、入院をして入院給付金を受け取る場合や契約者貸付制度を利用して保険会社からお金を借りる場合など、保険会社と保険契約を結んだ後に、保険会社から保険金や貸付金を受け取るときの「印鑑の照合」が重要なポイントになってきます。

保険会社は保険金の給付や貸付金を契約者に支払う場合、申請した本人が間違いなく本人であることを確認するために「届出印」と「申請があった印鑑」の照合を行い、照合が問題がないことを確認して支払いの手続きに入ります。

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そして、その印鑑の照合ができない場合は、保険金の給付がスムーズに行われないということになります。

保険会社からお金を受け取るときの印鑑の照合

では、実際に保険金の給付や保険会社からお金を借りるなどの理由で申請を行うときに、印鑑の照合ができないケースには、どんなケースが考えられるでしょうか?

想定されるケースとしては、保険契約を結んだ際に届け出た印鑑の「摩耗」や「損傷」などが挙げられます。

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具体的なケースとしては、印鑑の使用を重ねているうちに生じた摩耗、あるいは、経年劣化によるヒビ割れ、印鑑の素材によっては、保管状況などによる変形などがあります。

実際、チタンなどの金属素材を除きますと、ほとんどの天然素材の印鑑は使用頻度や、保管状況、経年劣化などにより、遅かれ早かれ「寿命」がやってきます。

印鑑に寿命があること、そして、保険会社へ保険金の給付などを申請するタイミングは契約時から数年後や10年後といったとことも珍しくないということを考えますと、例えば、認印のような使用頻度の高い印鑑を届け出印として選択するのは、印鑑が照合できないというリスクが高くなるという見方ができます。

保険会社への届け出印として実印を選択する

認印のように使用頻度の高い印鑑を保険加入の際の届け出印として選択することは、保険金の給付の際に印鑑が照合できないというリスクがあるということになりますと、届け出印として、「実印は?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

と、その前に、そもそも、実印ってどんな印鑑のこと?という方がいましたら、「実印ってそもそも何?登録方法から使い方まで徹底解説!」にて詳しく説明しておりますので、参考にして頂ければと思います。

実印は、住民票がある市区町村に登録する印鑑であることから、本人確認用の印鑑としては極めて社会的にも信用度の高い印鑑で、また、自動車や住宅購入、相続など多額の金銭を伴う契約を結ぶときに使う印鑑で使用頻度も低いことを考えますと、保険加入に選択する印鑑としては、条件としてはピッタリとも考えられます。

ただ、一方で、実印を保険加入の契約に使うことに対して「不安」に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、保険契約を結ぶ相手(契約先)が、名の知れた保険会社であればそれほど不安に感じることもないかもしれませんが、馴染みのない代理店だと一抹の不安感を感じるというのも、もっともな意見だと思います。

「保険加入に実印を使いたいけど・・、悪用されるのは防止したい」という方は実印と印鑑証明書の悪用防止策をまとめたページをご用意しておりますので、「印鑑証明書の悪用防止策について」のページより参考にして頂ければと思います。

また、保険加入に実印を使うことは気が進まないという方は、銀行印を選択するという方法もあります。

保険会社への届け出印として銀行印を選択する

保険契約を結ぶときは、ほとんどの場合、保険会社への保険料の支払いは銀行からの引き落としになっているかと思います。(一括年払いの場合は、銀行からの引き落としではなく振込というケースもあります。)

また、銀行に保険料の振替依頼書を提出するときは、自分がその銀行に口座を開設したときに銀行印として届け出た印鑑があるはずです。(一部の銀行では近年は、届け出印そのものの制度がなくなりつつありますので、その場合は他の銀行で口座を開設する必要があります。)

参考/銀行印廃止に舵を切る大手銀行の本人確認システムのまとめ

そして、その銀行印を保険会社への届け出印として提出するという流れになります。

この方法であれば、保険料の支払いをする銀行への届け出印と、保険会社への届け出印が一致することになりますので、保険金の給付を受けるときに、どの印鑑を「届け出印」として提出したのかということを”紐付けしやすい”というメリットが出てきます。

実際、筆者も色々なタイプの保険に加入しておりまして、4社ほどの保険会社と契約しておりますが、給付を受けるときに、契約の時に届け出た印鑑がどれだったかな・・・と思い出すのに苦労した記憶がありますので、銀行印とセットであれば、そうしたことも少なくなるかと思います。

ちなみに筆者が保険会社との契約時に届け出ている印鑑は、保険会社により実印と銀行を使い分けて現状に至っています。(昔は実印を選択していましたが、現在は上記の理由から銀行印を届け出印として選択しています。)

保険会社への届け出印の選び方のまとめ

「生命保険や医療保険に加入する際に使う印鑑についてのまとめ」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

認印、実印、銀行印、どれを選んでも問題はありませんが、それぞれに幾つかのポイントがあるということは、ご理解頂けたのではないでしょうか。

最後に一つ補足いたしますと、認め印を選択する場合、なりすましによる不正な保険給付金請求などのトラブル予防策として、容易に真似されてしまうシャチハタなどの印鑑は避けておいた方が無難です。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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【筆者プロフィール】

浅井美津子

保有資格である宅地建物取引士(免許番号:941700070)・簿記1級・販売士1級を活かし、長年にわたり、不動産、自動車などの売買契約業務から会計業務まで幅広く従事。社会問題から生活に関わる話題などについて、独自の視点で執筆活動も行っています。