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奨学金の申請や増額で必要な印鑑証明書と実印による押印についてのまとめ

当サイトのメインテーマである印鑑証明書と実印が必要になる場面は、多額の金銭が絡む取引が多いことが特徴として挙げられますが、その中でも最も典型的なケースの一つに、奨学金を申請するときの連帯保証人や保証人の印鑑証明書の提出と実印による押印があります。

そこで今回は、奨学金の申請や増額にあたって必要となる印鑑証明書と実印に関する知識について、説明していきたいと思います。

それでは、早速、見ていきましょう。

奨学金を申請するのに必要な印鑑証明書や実印って何のためにあるの?

まず、奨学金で連帯保証人や保証人の印鑑証明書の提出や実印による押印が求められる理由について説明する前に、おさらいも兼ねまして、「そもそも印鑑証明書や実印が一体、何をするためのものなの?」ということを説明したいと思います。(制度そのものを既にご存知の方は、先にお進みください)

印鑑証明書と実印による押印は、簡単に申し上げますと、金銭の貸し借りなどの契約を結ぶにあたって、印鑑登録証明書(通称:印鑑証明書)、そして登録された印鑑(通称:実印)が紛れもなく本人のものであることを、公的機関である市区町村役場が証明するための制度のことを指しています。

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実印と他の印鑑との違いは、この「公的機関の証明があるかどうか」に集約されていまして、公的機関のお墨付きをもらっていることを担保として、奨学金の申し込みの他、様々な重要な契約で使用されています。

平たい言葉で言い換えますと、「契約に使われた印鑑は市区町村役場で登録した印鑑で、その印鑑は市区町村役場が本人のものであることを証明します」ということになります。

そして、その威力がどれくらい強力かと言いますと、一度、実印による押印と印鑑証明書が揃った状態で契約を結ぶと、後から、何らかの理由で契約の有効・無効を裁判で争うような事態になったしても、その契約を無効にするには大変な労力を伴うほどです。(しかも、それが仮に家族などに悪用された場合であったとしてもです。)

実際に過去の判例でも、確かな反証がない限り、実印による押印と印鑑証明書が揃った状態での契約は、本人の意思により契約が結ばれたと推定されるケース(通称:2段の推定)がほとんどになっています。

参考/実印と印鑑証明書が揃った契約書を無効にすることが大変な理由とは?

今回、奨学金の申請にあたり、はじめて連帯保証人や保証人の印鑑証明書の発行と実印による押印をお願いするという方は、

〇実印による押印と印鑑証明書は市区町村役場の長により証明されていること

〇実印による押印と印鑑証明書が揃った契約は、後で無効にすることが大変難しいものであること

〇印鑑証明書と実印による押印はとても大切なものであるということ

の3つをまずは理解して頂ければと思います。

なぜ、奨学金の申請では連帯保証人や保証人の印鑑証明書の提出と実印による押印が求められるの?

では、続いては奨学金の申請において、印鑑証明書と実印による押印が求められる理由について説明していきたいと思います。

先ほど、印鑑証明書は公的機関による証明を背景に絶大な効力を保有しているということを説明させて頂きましたが、奨学金の申請にあたっては、数百万円単位の金銭が絡む契約を結ぶことになりますので、その契約に対して本当に連帯保証人や保証人が自らの意思を持って申し込みをしているのかどうか、そして、後から、その契約について無効にして欲しいといったことが起きないように、貸主(日本学生支援機構など)が連帯保証人と保証人の”担保”を求めて、「印鑑証明書」を活用します。

例えば、社会人になった後、奨学金を返済する予定になっていた学生が何らかの理由で、社会人になってから奨学金を払うことができなくなってしまった場合、その債務を返済することになる連帯保証人や保証人が契約を無効と言い出したり、自分の意思で押印したのではないと言い出して、奨学金を返済しないことを防ぐといった目的で使用されます。

連帯保証人や保証人の立場からしますと、実印による押印と印鑑証明書を揃えて契約を結ぶと、その契約からは、よほどの事情がない限り”逃れられない”ということを意味しています。

奨学金申請では連帯保証人や保証人の印鑑証明書の有効期限も定められている

ここまで印鑑証明書と実印による押印が本人の意思確認と公的機関の証明を伴うことで、連帯保証人や保証人としての”担保”として機能している背景を見てきましたが、奨学金の申請の審査にあたっては、その効果を確実なものにするために、提出する印鑑証明書にも有効期限が定められています。

印鑑登録は、住民票がある市区町村で行い、区長の許可のもと認められますが、複数の市区町村で登録することは認められていませんので、例えば、奨学金の申請にあたって、連帯保証人や保証人が以前に住んでいた市区町村での印鑑証明書と実印による押印を使用できません。

 港区印鑑条例~第三条~
1港区に住所を有し、住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号。以下「法」という。)により記録されている者は、一人一個に限り印鑑の登録を受けることができる。

参考/港区印鑑条例

なお、引っ越しなどがあった場合は、以前の住所の印鑑登録は自動的に無効になるという仕組みになっています。

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また、なりすまし防止などの観点から、現住所のものであっても、3ヶ月以上前の印鑑証明書を提出することは認められていません。

Q入学前に入手した必要書類(住民票・印鑑登録証明書等)は使えますか?
A有効期限の過ぎた証明書は使えません。住民票・印鑑登録証明書等の市区町村発行
の証明書は、有効期限が 3 ヶ月です。3 ヶ月を過ぎた場合、証明書は無効となります。

参考/日本学生支援機構奨学金に関する Q&A 集(PDF)

印鑑証明書と実印による押印はセットでないと意味がない?

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奨学金の申請に限ったことではありませんが、連帯保証人や保証人の印鑑証明書と提出と実印による押印は必ずセットで求められます。

連帯保証人や保証人の印鑑証明書の提出をお願いする場合は、その登録した印鑑を押印する書類が必ずあるはずですので、先に、どの書類に実印で押印するかということを確認し、それを連帯保証人や保証人に伝えましょう。

それを怠ると、特に実の親ではない保証人への依頼の場合、印鑑証明書の提出をお願いするだけで、押印する場所を説明しないと「不信感」を与えてしまうことになりかねませんので、十分に注意が必要になります。

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連帯保証人や保証人が海外にいる場合はどうすればいい?

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まず、奨学金の申請では、連帯保証人と保証人のいずれかは日本に在住している必要があり、さらに、海外に居住している人が連帯保証人や保証人になる場合であっても、日本に帰国予定がない場合は、選任することができません。

では、今は長期出張などで海外にいるが、まもなく日本へ帰国するという人に連帯保証人や保証人を依頼する場合は、どうすればいいのでしょうか?(印鑑登録制度は、日本の市区町村で行う制度のため、海外に住んでいる人は印鑑登録ができません)

その場合は、印鑑登録証明書の代わりに、現地の日本大使館または領事館で「署名証明書」または「サイン証明書」を発行してもらうことになります。

現地の大使館や領事館で「署名証明書」または「サイン証明書」を発行してもらう方法には2つの方法がありますが、奨学金申請の場合、「在外公館が発行する証明書と申請者が領事の面前で署名した私文書を綴り合わせて割り印を行う方法」が求められます。

Q連帯保証人・保証人が海外に住んでおり、印鑑登録証明書がでない。
A単身赴任等で海外に一時的に在住している方の場合、現地の日本大使館または領事館に返還誓約書を持参のうえ、係官の前で返還誓約書の署名欄に署名していただくようお願いしてください。
その際に発行される「署名証明書」「サイン証明書」を印鑑証明書のかわりに添付してください。

参考/返還誓約書に関するQ&A

参考/在外公館における証明 -外務省-

まとめ

「奨学金の申請や増額で必要な印鑑証明書と実印による押印についてのまとめ」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

奨学金の申請にあたって連帯保証人や保証人をお願いするのは自分の親や近親者がほとんどだからこそ、「親しき中にも礼儀あり」をモットーに、事前にしっかりと印鑑証明書や実印による押印のことを理解し、丁寧に事情を説明した上でお願いしたいところですね。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!

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【筆者プロフィール】

浅井美津子

保有資格である宅地建物取引士(免許番号:941700070)・簿記1級・販売士1級を活かし、長年にわたり、不動産、自動車などの売買契約業務から会計業務まで幅広く従事。社会問題から生活に関わる話題などについて、独自の視点で執筆活動も行っています。