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契約書や稟議書などをデジタル化!電子署名や電子印鑑の導入に便利なおすすめサービス4選

契約書やNDAのやりとりを電子化してもっと効率的にしたい・・・

稟議書や社内の申請書類のワークフローをデジタル化できないものだろうか・・

日本のビジネスの現場では、社内用の稟議書、申請書など保管する必要がある重要な書類については今なお、紙の書面への押印や署名(サイン)が求められることが多く、また社外の人との書面による締結が必要な契約書などに至っては郵送、印紙税などのリソースなども要求されるという商習慣が根強く残っていることから、上記のように考えている方も少なくないのではないでしょうか。

そこで、今回は社外取引用の書面である契約書やNDA、社内用の申請書や稟議書などをデジタル化するにあたって確認しておきたいポイントや注意点をざっと見た後、電子署名や電子印鑑を提供しているおすすめサービスを厳選して4つ紹介していきたいと思います。

なお、筆者はこれまでに不動産や自動車売買を中心に数多く契約業務に関わってきた他、近年はクライアント様のECサイトやwebサービスなどでのマーケティングや仕組みづくりなどにも関わっています。

法律的に大丈夫なの?デジタル化する前に確認しておきたい3つのポイント

電子署名などに関する法律は日本だけでも様々な法律が存在しますが、海外でもその国特有の法律があり、その内容はその国の法律に準じているというのが現状であります。

しかしながら、電子署名に関する法律の骨格とも言うべき、その背景にある3つの考え方が担保されていれば、法的な効力を持ちうるというのが、グローバルスタンダードになっています。

日本でも下記の一部の契約書や通知書を除けば、「電子署名及び認証業務に関する法律」により電子署名が認められている他、日本の民法上は契約書は当事者同士で書式を決めることができるとされていますので、これから述べる3つのポイントさえ担保されていれば、電子署名の法的有効性はあると考えていいでしょう。

参考/電子署名及び認証業務に関する法律

紙の書面化が義務されている契約
定期借地契約(借地借家法22条)
定期建物賃貸借契約(借地借家法38条1項)
労働条件通知書の交付(労働基準法施行規則5条3項)
投資信託契約の約款(投資信託及び投資法人に関する法律5条)

電子署名の真正性~ポイント1~

契約書やNDAなどのデジタル化を進める上で、最も重要で最も選択肢が豊富であるのが「電子署名の真正性」です。

平たく言ってしまいますと、「電子化されたサインが本物であるということをどのような方法で認証するのか?」というものになりまして、馴染みの深いEメール認証にはじまり、ソーシャル認証やスマートカード、USBトークンモバイルワンタイムパスコードなどを利用したものまで様々な方法で契約当事者の電子署名を認証するという仕組みになっています。

高度の認証システムとしては、「トラストサービスプロバイダー」と呼ばれる機関がデジタルIDと何らかのデジタルデバイスを利用したパスワードなどを発行して認証する方法などがありまして、日本のトラストサービスプロバイダーには、セコムやグローバルサイン、政府PKIなどがあります。

参考/世界のトラストサービスプロバイダー(Adobe社提携)

契約者の意思確認および同意確認について~ポイント2~

電子署名に限ったことではありませんが、契約書は双方が内容について合意し、その内容に対して契約者自身の意思確認と同意の確認を経て、契約締結へと達します。

電子署名においても、双方による協議が行われて、契約内容が書き換えられる度に内容確認が求められ、最終的には「クリック」などを通じて、最終意思確認や同意の確認を行うという仕組みがとられています。

また、サービスによっては、その内容の変遷を記録として残している会社もあり、後で契約書を振り返ったときに、どういった経緯で契約合意に至ったのかを確認することも可能だったりします。

契約者の証拠緑~ポイント3~

電子署名の法的効力を確認するうえで最後のポイントとなるのが、契約当事者が合意に達した後の契約書の証拠力になります。

改ざん防止はもちろん、その契約書が本物であることを担保するために、様々な方法が採用されています。

例えば弁護士ドットコムが提供しているクラウドサインでは契約が締結されると「合意締結証明書」を発行していたり、アドビ社では「Adobe Document Cloud」で”封印”されクラウド上に保管されるという仕組みになっています。

業務用文書のデジタル化で得られるメリットのまとめ

ここまで業務用文書の電子化の法的有効性について説明してきましたが、ここからは電子化による得られるメリットについて、ざっくりと見ていきたいと思います。

まず、もっとも分かりやすいものとして、紙の契約書で必要になる「印紙税」があります。

国税庁の見解では、電子署名で締結された契約書については収入印紙が必要ありませんので、ペーパレスを実現できれば、その分のコストは引き下げることが可能になります。

Q.本注文請書の記載内容が請負契約の成立を証するものである場合において、これの現物を相手方に交付した時は、印紙税の課税文書の作成となるが、現物の交付に替えて、PDFファイル等の電磁的記録に変換した媒体を電子メールを利用して送信した時は、課税文書を作成したことにはならないものと解して差し支えないか。
A.<中略>注文請書の現物の交付がなされない以上、たとえ注文請書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても、ファクシミリ通信により送信したものと同様に、課税文書を作成したことにはならないから、印紙税の課税原因は発生しないものと考える。

参考/請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について -国税庁-

また、社内便や郵送なども必要ありませんので、郵送費や配送費用などのコストも下げることが可能になる他、文書のデジタル化は改ざん防止などのセキュリティ対策もされていますので、コンプライアンス強化という面でもメリットがあると言えるでしょう。

さらに、契約締結にあたって紙でのやりとりにかかる時間や手間、また、保管コストや保管スペースなども大幅に削減できるというメリットがあります。

業務用文書のデジタル化における注意点~印鑑証明書と実印による認証~

先ほどは契約書のデジタル化のメリットについて見ましたが、導入にあたっての注意点についても見ておきたいと思います。

先ほど、日本の民法上は契約者同士が契約の書式を自由に決められるという説明をしましたが、自由であるが故に、歴史の長い会社などでは会社のルールとして契約の形式を定めているところも少なくありません。

その中でも、法人同士の契約の場合、法人としての代表印による押印と印鑑証明書の提出を義務付けている会社があったりします。

こうした契約ルールを定めている場合、残念ながら、契約書をデジタル化するというのは難しいのが現状で、従来通り、紙の書面による契約締結を行う必要があります。

自社で契約書やNDAのデジタル化を検討中という場合は、自社の法務としての運用ルールをまずは確認する必要があると言えるかと思います。

では、続いては電子契約サービスを提供している会社について見ていきたいと思います。

アドビ・サイン~おすすめサービス その1~

PDFでお馴染みのアドビが提供する電子サインサービス「adobe sign」

>>アドビサイン公式サイト

日本独自の承認フローに対応した仕組みが用意されていたり、Salesforceや Microsoftなどの業務アプリケーションと簡単に統合することで、PDF以外のソフトウェアでも電子署名や電子印鑑を直観的に利用できたり、日本語や英語以外にも数多く対応していたりと、その機能と展開の広さはまさにグローバル。

また、アドビサインではモバイルにもかなり力を入れておりまして、スマホで紙の書面を撮影して、それを電子署名用に送信したり、またモバイルアプリを使って簡単に電子署名ができたり、さらにスマホのカメラ機能で普段使っている印鑑を撮影し、それを電子印鑑として利用できるなんていうサービスも提供しています。

料金プランは個人、グループ、エンタープライズ、ビジネスと4つの段階に分かれていまして、利用状況に応じて選択できるのも嬉しいポイントになっています。

弁護士ドットコム「クラウドサイン」~おすすめサービス その2~

弁護士ドットコムが提供する電子サインサービス「CLOUD SIGN」

>>クラウドサイン公式サイト

法律相談や弁護士の検索サービスで上場している「弁護士ドットコム」が展開する「クラウドサイン」は、日本国内の法律に精通した専門家集団が提供する電子契約サービス。

日本の商習慣や日本の法律を熟知した国内企業が展開しているサービスということもあり、国内で積極的に採用されておりまして、2017年9月の時点ですでに導入企業数は10,000社を突破しています。

機能面では、相手先がクラウドサインを導入していなくても、締結できるような仕組みを用意していたり、契約締結後には「締結証明書」が発行されたりなど、信頼性の高いサービスを展開しています。

料金体系は、個人向けプランが0円から、企業向けプランも10,000円~という低価格で提供されています。

あのシャチハタと提携「ドキュサイン」~おすすめサービス その3~

世界188カ国で30万社が導入、2億人を超えるユーザーが利用中のアメリカの電子署名サービス事業最大手の「ドキュサイン」

>>ドキュサイン公式サイト

ドキュサインは世界レベルで急成長をしている企業で、日本でも様々な企業とパートナー契約を結び着々と日本でのシェアを拡大させていまして、デジタル化推進パートナーとして「電子印鑑システム」を提供しているハンコ最大手のシャチハタとも業務提携を行っています。

サービスの内容については、アドビサインやクラウドサイン同様、業務効率化のためのペーパーレス化を推進するあらゆる機能が豊富に用意されています。

また他社同様、モバイルに力を入れておりまして、ios、androidだけでなくwindowsアプリまで展開しています。

フリーミアム電子署名「ハローサイン」~おすすめサービス その4~

ドキュサインやアドビサインとは競合サービスではあるものの、より導入ハードルが低いフリーミアム電子署名サービスを提供している「HELLO SIGN」

>>HELLO SIGN公式サイト

誰でも1ヶ月3文書までは無料で利用できますので、フリーランスの方や海外での方とのやりとりが中心という方にはおすすめの電子署名サービスになります。

gmailで受信した文書に、gmail上で電子署名ができたり、PDFを編集しやすいデジタルファイル変換する「ハローワークス」など便利な機能も豊富に搭載されています。

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まとめ

「契約書や稟議書などをデジタル化!電子署名や電子印鑑を導入するために便利なおすすめサービス4選」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

今後、ビジネスのデジタル化はますます加速していくことが予想されますが、今回ご紹介したサービスがデジタル化や業務効率化のきっかけや参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。

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【筆者プロフィール】

浅井美津子

保有資格である宅地建物取引士(免許番号:941700070)・簿記1級・販売士1級を活かし、長年にわたり、不動産、自動車などの売買契約業務から会計業務まで幅広く従事。社会問題から生活に関わる話題などについて、独自の視点で執筆活動も行っています。