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はんこはもういらない?エストニアに見る電子国家の可能性と日本の未来のまとめ

日本のハンコより暗証番号システムの方が安全だと思う

2018年1月15日に放送されたテレビ東京の「WBS」で報道された電子国家エストニアの現状には、ネットでもかなり驚きの声が上がりました。

中でもインパクトがあったのが、ニュース内で過去に日本で暮らしたことのあるエストニア人の男性が言及した上記のコメントです。

そこで、今回は世界で最も進んでいると言われるエストニアに見る電子国家の可能性と日本の未来についてまとめてみたいと思います。

電子化が進むと、実際どういうメリットが受けられるのか?

エストニアの生活がどれほど便利なものであるかについてはネット上などにも様々な情報がありますが、書籍「未来型国家エストニアの挑戦  電子政府がひらく世界 (NextPublishing)」がとても分かりやすくまとまっていましたので、そちらを中心に筆者の方で、代表的なメリットをまとめてみました。

 エストニアのココがすごい
1デジタルのIDカード1枚で行政サービスが網羅できているため、面倒な書類発行手続きはほとんどなし
2民間企業の提携も多く(保険、銀行、携帯電話など)、現金はほとんど必要なし
3自動車、土地などの登記なども簡略化(+高度に暗号化)
4教育では先生と親がネット上で情報共有できる
5税金(消費税20%のみ)、年金は極めてシンプルな仕組みで明瞭化
6医療では処方箋もカルテもすべて電子化(いつでも閲覧、高度に暗号化)
7電子国家として「オープン」を旨として、国家が関わるプロジェクトのコストなどはすべて公開
8大統領や首相、公務員の給与は民間平均をもとに0.65~4倍以内で規定(全部公開)
9電子化犯罪を取り締まるべく電子警察を強化
10会社設立は140ユーロ(日本円で約14,000円)と30分程度で完了(世界のどこにいても受付可)

ざっと筆者が10個ほどの大きなメリットを挙げてみましたが、どれもこれも”高度に”電子化されていること、そして、そのオープンな理念があるからこそ実現できているサービスで、市民としては十分に価値を感じるものばかりです。

行政サービスや民間サービスが手を組み、ありとあらゆるサービスが電子化され効率化されているエストニアのような国と、良くも悪くも古い慣習が根強く残る日本では生産性という面において今後、大きな差が出ることが予想できるのも納得していただけるのはないでしょうか。

電子国家では社会全体で無駄なコスト(時間、お金など)が大幅に削減される一方で、日本では窓口に並んで現金を下ろし、紙の書類を揃え、何個も印鑑を押して・・そんな膨大なコストを無駄にしていると、どちらが社会全体で効率がいいのかは火を見るよりも明らかだと思います。

「確かに効率がいいのは分かった。だけど、電子国家は”リスク”も高いんじゃないの?」

エストニアの高度なセキュリティを支えるオープン化とブロックチェーン

インターネットでは匿名の誹謗中傷やなりすましなどが横行したり、詐欺やウィルスなどの危機に常にさらされていることから、その安全性は専門家からも度々警鐘がなされてきました。

インターネットは仕組みとして穴だらけで、犯罪の温床だ

そんな過激なことを言う専門家もいたりして、信頼を何よりも大事にする私たち日本人にしてみれば「インターネットは便利は便利だけど、信用しきれない」という人も少なくないかもしれません。

そんな信義を大事にして、謙虚さを美徳とする日本人の国民性ですが、実はエストニアの国民性と類似点が多いというと驚かれる方もいるのではないでしょうか?

実際にエストニアに移住したあるクリエイターが特集された記事では、エストニア人の国民性について次のように語っています。

「~中略~エストニア人は謙虚で自虐的だそう(笑)。移民である自分たち夫婦に対しても「なんでこんな寒くて暗い国にわざわざ来たの」と言って、自国の自慢をするようなことはあまりないのだとか。初対面ではシャイだが親切で、行列でもきちんと並び、道路や公共交通機関を清潔に保つエストニア人。たしかに日本人と似ているかもしれない。

参考/世界最先端の電子国家「エストニア」に移住して、がらっと変わった仕事観 -CINRA-

そんなエストニア人がなぜ、電子国家として世界のトップを走り続けることができて、高度なセキュリティ対策を実現できているのでしょうか。

それは徹底したオープン化という理念とブロックチェーンという技術によって支えられているからです。

ブロックチェーンというと、ビットコインなどの暗号通貨ばかりに関心をもたれがちですが、実はその本質は、改ざん不可、分散化、匿名化(暗号化)という極めて強固なシステムで、インターネットとは全く別モノの、なりすましや詐欺などが極めて起こりにくい技術なのです。

つまり、日本人と同じように何よりも「信頼性」を大事にするエストニア人だからこそ、ブロックチェーンに可能性を感じて、いち早く導入できたとも言えるのです。

ちなみに、エストニアのブロックチェーンを裏で支えている「Guardtime社」は、世界最高レベルのセキュリティレベルを求められるアメリカの国防高等研究計画局、ロッキードマーチン社、エリクソン社などと取引、提携しておりまして、その共同経営者の一人であるMart Saarepera氏は日本の東工大出身者として日本と馴染みが深い人物でもあります。

参考サイト/Guardtime

そして、もう一つがオープン化という理念です。

首相や国会議員の給料が公開されているというのは、日本でも同じですが、公務員である官僚の給料や国家が関わるプロジェクトにかかる費用はすべて公開するという姿勢は、簡単に真似できるものではありません。

また、税金や登録を極限までシンプルかつオープンにして、世界中のどこにいても簡単に会社を登記できるという仕組みを実現しているのは、その理念があってこそです。

日本のマイナンバー制と電子国家としての未来

ソフトウェアが世界を飲み込む

アメリカの著名なITベンチャーの起業家であり、投資家でもあるマーク・アンドリーセン氏が2012年に海外の新聞で語ったこの言葉は事あるごとに様々なメディアで取り上げられ、実際にソフトウェアが自動運転、スマートスピーカー、3Dプリンタに見られるように現在進行形で、あらゆる業界を飲み込もうとしています。

では、「国家」はどうでしょうか?

個人的には、外交が少しでもある国であれば、これは避けることができない”運命”だと筆者は考えます。

つまり、日本も決して例外ではないということです。

「いやーそうは言っても、日本はもう超高齢化社会だし、もう劇的に変わるのは無理じゃない・・抵抗勢力も多そうだし」

本当にそうでしょうか?

筆者は、日本人の気質に似たエストニア人が実現したように、日本人の国民性から考えると、むしろ、トラストレス(信頼性が担保されている)なブロックチェーンやオープンさ(他のどの国よりもフェアであることを望む)の両方を兼ね備えた国家を目指すだけの「適性」があると思うのです。

改ざんができず、高度に暗号化され、情報が分散化されているブロックチェーンは、古来より信義を何よりも大事にする日本人の”気質”をデジタル化し、そして、博愛的なフェアネスで社会をできる限りシンプルかつオープンな形にできれば、日本の生産性は著しく向上できると思いますし、日本をより魅力的な国にできるチャンスにすらなるのではないでしょうか。

奇しくも日本もマイナンバー制が施行し、高度な電子国家を実現するための仕組みづくりは、はじまりつつあります。

山積している日本の課題の解決の糸口にすべく、是非とも政府にはマイナンバーカードを利用した高度で先進的な電子国家の実現を是非、目指して欲しいと思います。

まとめ

「はんこはもういらない?エストニアに見る電子国家の可能性と日本の未来のまとめ」と題して、お送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

本格的な電子国家への道のりはまだまだ遠いように感じますが、日本にはそのポテンシャルは十分にあると思います。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

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【筆者プロフィール】

浅井美津子

保有資格である宅地建物取引士(免許番号:941700070)・簿記1級・販売士1級を活かし、長年にわたり、不動産、自動車などの売買契約業務から会計業務まで幅広く従事。社会問題から生活に関わる話題などについて、独自の視点で執筆活動も行っています。