手や指へのフィット感、適度な硬質さや柔らかさを兼ね備えた質感、様々な用途に加工が可能な柔軟性に富んだ素材感、そして見た目の高級感など、古くから印鑑の素材として高い人気を誇る象牙。
また、素材としてだけでなく、その耐久性や印影の美しさなど印鑑の機能面でも他の素材とは一線を画していることから、実印の素材として選ばれることが多いのはご存じの通りです。
そんな象牙ですが、現在はワシントン条約により国際間の新規取引及び継続的な貿易は行われておりません。
では、現在発売されている象牙の印鑑はどのように製造・販売しているのかと言いますと・・・、1999年と2009年に一度限りという条件付きで許可された国際貿易で輸入した象牙を印鑑として利用しているか、あるいは、国内で流通している素材としての象牙を再加工する形で印鑑として提供されています。
そんな印鑑として最高峰の一つである象牙について、価格の相場や購入方法、購入後のお手入れなどについて見ていきたいと思います。
象牙の印鑑の価格相場
象牙の印鑑を作成した場合、いくらぐらいの費用が掛かるのかという点について、女性用の実印は15cm、男性用の実印は16.5cmをサンプルとして、国内の印鑑販売サイトの価格相場を調査いたしました。(参考記事/「実印の大きさ(規定サイズ)について~女性用と男性用~」)
店舗名 | 本象牙(女性用/15cm) | 本象牙(男性用/16.5cm) |
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はんこプレミアム | ¥18,800 | ¥19,800 |
ハンコマン | ¥18,100 | ¥21,100 |
はんこdeハンコ | ¥16,800 | ¥19,800 |
いいはんこやどっとこむ | ¥12,480 | ¥14,280 |
印鑑市場 | ¥19,100 | ¥21,200 |
ハンコヤストアドットコム | ¥14,800 | ¥16,800 |
印鑑の匠 | ¥16,980 | ¥19,980 |
平安堂 | ¥29,600 | ¥32,800 |
はんこキング | ¥13,619 | ¥15,810 |
国士堂 | ¥16,280 | ¥19,370 |
畑正 | ¥19,800 | ¥27,160 |
相場価格(平均) | ¥17,850 | ¥20,736 |
女性用では、¥11,800~¥29,600、男性用では、¥13,800~¥32,800と店舗により、かなり値段に開きがあることが分かります。
値段の差につきましては、様々な原因が考えられますが、例えば、手彫りだったり、あるいは、直径が違っていたり、ハンコの形状が寸胴と天丸で異なっていたりといった状況です。
象牙の種類について
実は、印鑑用に使用されている象牙の種類にも様々なタイプがあります。
象牙には芯に近ければ、近いほど、さらに目が詰まって、色が白いものほど、高級とされています。(地域や販売店により解釈が異なる場合があります。)
〇一般的な象牙
〇高級な象牙(高級などの表現)
〇最高級の象牙(極上などの表現)
〇日輪(最も希少価値の高い象牙)
日輪とは |
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シマの濃い象牙からしか日輪の印鑑は、取れず、通常は象牙に沿ってタテに取りますが芯を中心にヨコに取る為、木でいう年輪が何重もの丸の模様になって見える大変贅沢で貴重な印鑑です。名前の由来は「太陽の輪」に似ていることが来ており、その模様は輪を結んでいるため縁起が良いと珍重されています。(参考/「平安堂-日輪-」) |
なお、高級象牙から日輪については、販売している店舗も少ないことから、上記の象牙の印鑑の相場価格は、一般的な象牙にて比較を行っています。
象牙の印鑑のお手入れについて
〇汚れやほこり等を取る場合、乾いた布でふき取ること
〇水で洗うときは、乾いた布で水分をふき取り日陰で乾かすこと。直射日光を長時間あてると変色する場合があります。
〇光沢を取り戻す方法としては、研磨剤を含まないワックスで磨いた後、汚れのついていないきれいな布などで軽く拭き取ると輝きが戻ります。
〇黄ばみを取る場合は、市販の漂白洗剤を薄めて、布などに浸透させ、それで該当箇所にあてることで、黄ばみをとることが可能です。
象牙の輸入と購入先の販売ライセンスについて
ワシントン条約により国際間の商取引が禁止されている「象牙」は、日本では実印用の印鑑として作成されるなど、最高級の素材の一つとして知られています。
そんな象牙ですが、1989年にワシントン条約(CITES)の締結により、象牙の輸入禁止措置が採択された後は、象の数が急増して(農地を荒らすなど人間の生活に影響を与えるほど)、それ以降1999年に日本に、2009年に日本と中国に一度限りという条件付きで貿易が行われました。
条件としては、自然死、もしくは人間等に危害を加えたアフリカゾウから採取されたものに限り許可するというもので、ゾウの保護・管理ができているナミビア・ボツワナ・ジンバブエ・南アフリカの4ヵ国に限られています。
また、経済産業省も象牙製品の製造や販売に対しては、かなり厳格な運用を行っておりまして、「「種の保存法」に基づく届出等について」に基づき、象牙製造事業者・卸売事業者・小売事業者に対して、届け出をしない事業者には特定国際種事業を認めていません。
つまり、特定国際種事業のライセンスを持っていない事業者は、象牙の製造や販売を認められないということになります。
ただ、2013年に国連安保理に提出された報告書によれば、アフリカ中部地帯の武装勢力が象牙の密輸を重要な資金源としていることからも、そうしたことに間接的に加担しないためにも、象牙の印鑑を作成するときは、「特定国際種事業」のライセンスを保有しているかどうかは、しっかりと確認した方がいいでしょう。
象牙の資産価値について
上記で説明しました通り、象牙は現在、国際的な取引もできないませんが、国内での取引については、これまで通り認められています。
そうした背景もありまして、象牙を高価で買い取りしている業者も少なくありません。
仮に象牙の印鑑を購入した後、別の印鑑に変更しようというときでも、まるで車の買い替えのように、象牙の印鑑は売買できる可能性があるというのも魅力の一つと言えます。
まとめ
「象牙の印鑑の価格相場~購入からお手入れまで~」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
象牙の印鑑の購入とその後について、読者の方の参考になれば幸いです。
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